絶縁抵抗試験(メガー)の盲点について

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絶縁抵抗試験(メガー)の盲点について

精度の高い絶縁監視装置(通電診断)の導入事例

某デジタルカメラの製造工場において、通電診断が可能な漏電監視装置が導入されました。絶縁不良の原因特定が可能となり、諸々の原因の統計が集積され、分析がなされました。原因の約半分は、業者の工事によるもの、そして残りは、工場内の装置劣化だったとのことでした。この2つは、絶縁抵抗試験では、発見できないといわれています。 つまり、通電診断を行っておらず、年次点検にて絶縁抵抗試験の試験のみで運用している工場では、ほとんど危険な漏電を見過ごしているということになります。

絶縁抵抗試験(メガー)の盲点

経済産業省が推奨している電気を止めた絶縁抵抗試験(メガー)は、先に紹介した事例において、有効性の低い1例となってしまいました。絶縁抵抗試験が、まったく必要ではない訳ではありませんが、電気を止めて行う試験であり、負荷の機器は試験範囲から切り離されているため、運用時の安全を維持するための試験とは言えません。また、工事ミスや、工事時のみに接続される工具などは、工事中のみに発生するものなので、年次点検での試験の時には、検出できません。また、温度変化やストレス等で発生する絶縁破壊も、絶縁抵抗試験では検出できません。

本来、運用時の安全を確認するには、通電状態での診断が回路全体を的確に診断する 唯一の方法であると考えます。

今まで、経済産業省が絶縁抵抗試験を推奨してきた背景は、通電状態での精度のよい 診断方法がなかったためではないでしょうか。歴史と実績が加わった方法しか推奨できないことは、国の姿勢としては当然のことであると考えます。しかし、通電状態の絶縁劣化を診断する方法が確立したならば、何が理想的であるか考える時期に来ていることは疑いを挟む余地がありません。